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EDRアラートを起点とする複数ログの突合せと初動対応

オリジナル1問3答目安 18分

S社は化粧品の通信販売会社であり,サーバの保守をT社に委託している。情報システム課のRさんは,CSIRTのメンバーである。

〔S社のシステム構成〕

S社の主な機器を表1に示す。

表1 S社の主な機器(抜粋)

機器名IPアドレス概要
VPN装置(インターネット側)テレワーク及びT社の保守に用いる。接続した端末には 10.10.200.0/24 のアドレスを払い出す。利用者認証は,ドメインのアカウントのIDとパスワードに加えて多要素認証を行う。ただし,T社用の共用アカウント vendor-m は,T社の保守端末が対応していないので,多要素認証の適用を除外している。
MS110.10.1.20運用管理用サーバ。情報システム課員とT社の保守員は,リモートデスクトップでMS1にログオンし,MS1から各サーバを操作する。vendor-m はMS1のローカルの管理者グループに所属している。
FS110.10.1.30ファイルサーバ。共有フォルダ“問合せ記録”に,問合せ管理システムから毎月出力したCSVファイル(顧客約700人分の氏名,電話番号,メールアドレス及び問合せ内容)を保管している。クレジットカード番号や健康状態に関する情報は含まない。
プロキシ10.10.1.5社内のサーバとPCは,プロキシ経由でだけインターネットに接続できる。
Webサーバ(DMZ)通信販売サイト。WAFを経由して公開している。DMZから社内LANへの通信は,全て禁止している。

注記1 サーバとPCにはEDRを導入している。EDRの“ネットワーク隔離”は,EDRの管理サーバとの通信以外の通信を遮断する機能であり,隔離中も端末の電源は入ったままである。

注記2 Windowsのプロセス作成のイベントには,コマンドラインも記録する設定にしている。

注記3 機器の時刻はNTPで同期している。ログの時刻は,VPN装置だけがUTC(協定世界時)で記録し,その他は日本時間(UTC+9時間)で記録する。

情報システム課の小野さんは,ドメイン管理者グループに所属する管理者アカウント adm-ono を使って作業する。10月6日の夕方,小野さんはMS1にリモートデスクトップでログオンして作業した後,ログオフせずに接続を切断したまま退社した。

〔インシデントの発生〕

10月7日 03:12(日本時間),EDRがFS1で“不審なアーカイブの作成と外部への大量送信”のアラートを発報した。Rさんが関係する機器のログを抽出したものを表2〜表5に示す。

表2 VPN装置のログ(抜粋)

2026-10-06 11:58:03  auth-fail   user=tanaka-k  src=198.51.100.77
2026-10-06 11:58:41  auth-fail   user=ito-y     src=198.51.100.77
  (同じ送信元から,異なる29個のアカウントに対する auth-fail が 12:05:20 まで続く)
2026-10-06 12:06:12  auth-ok     user=vendor-m  src=198.51.100.77  assigned=10.10.200.15  mfa=exempt
2026-10-06 18:52:40  disconnect  user=vendor-m  src=198.51.100.77  assigned=10.10.200.15

表3 WebサーバのWAFのログ(抜粋)

2026-10-06 20:50:14  block  rule=SQLi  src=192.0.2.44  uri=/item/search
  (同じ送信元からの同種の通信が 20:58:02 まで計214件。全て遮断)

表4 MS1及びFS1のWindowsセキュリティログ(抜粋)

機器時刻イベントID内容
MS110/06 17:30:224624ログオンタイプ:10,アカウント:adm-ono,送信元:10.10.1.101(小野さんのPC)
MS110/06 21:10:304624ログオンタイプ:10,アカウント:vendor-m,送信元:10.10.200.15
MS110/06 21:24:024688アカウント:vendor-m,作成元プロセス:cmd.exe
コマンドライン:C:\ProgramData\u\d.exe -ma lsass.exe C:\ProgramData\u\l.dmp
FS110/06 22:31:164624ログオンタイプ:3,アカウント:adm-ono,送信元:10.10.1.20
FS110/07 02:55:404688アカウント:adm-ono
コマンドライン:C:\ProgramData\u\pk.exe a -p******** C:\ProgramData\u\q.dat D:\share\問合せ記録*
FS110/07 03:04:124688アカウント:adm-ono
コマンドライン:C:\ProgramData\u\rc.exe copy C:\ProgramData\u\q.dat st:bk01

注記 4624はログオンの成功,4688はプロセスの作成を表し,ログオン先(実行先)の機器で記録される。ログオンタイプ3はネットワークから,10はリモートデスクトップによるログオンを表す。

表5 プロキシのログ(抜粋)

時刻送信元宛先送信量
10/07 03:04:15〜03:41:5210.10.1.30CONNECT st.example.net:4432.1GB

注記 st.example.net はクラウドストレージサービスのドメインである。S社はこのサービスを業務で利用していない。

Rさんは,ログの分析結果を図1のメモにまとめた。

図1 ログの分析結果(Rさんのメモ)

  1. 攻撃者は,多数のアカウントに対してパスワードを試行した後,多要素認証が除外されている vendor-m でVPN接続に成功した。S社のネットワークに最初に侵入した時刻は,日本時間の10月6日【 a 】と判断する。
  2. 攻撃者は,VPNで払い出されたアドレスから vendor-m でMS1にログオンし,lsass.exe のメモリをファイルに書き出した。lsass.exe のメモリには,ログオン中の利用者の認証情報が含まれる場合がある。
  3. FS1への横展開には,【 b 】が使われたと判断する。
  4. FS1上で共有フォルダ“問合せ記録”をパスワード付きのアーカイブにまとめ,プロキシ経由でクラウドストレージに送信した。通信はHTTPSであり,送信された内容そのものはプロキシのログからは確認できない。

〔初動対応の方針〕

CSIRTの会議で,Rさんは次のように提案した。

「攻撃者は 03:52(日本時間)にVPNを切断しているが,同じ認証情報で再び侵入されるおそれがある。まず【 c 】。次に,MS1とFS1について,揮発性の高いものから順に,【 d 】の順で証拠を保全する。」

小野さんは,「顧客の個人データが外部に送信されたおそれがあるので,個人情報保護委員会への報告の要否を今日中に判断したい」と述べた。

設問1

図1中の【 a 】に入れる時刻と,【 b 】に入れる字句の組合せはどれか。解答群のうち,最も適切なものを選べ。

解答群

ab
ア12:06MS1上で取得されたとみられる adm-ono の認証情報を使った,MS1からFS1へのネットワークログオン
イ12:06VPNで払い出された 10.10.200.15 から,vendor-m の認証情報を使ったFS1へのリモートデスクトップ接続
ウ20:50MS1上で取得されたとみられる adm-ono の認証情報を使った,MS1からFS1へのネットワークログオン
エ20:50VPNで払い出された 10.10.200.15 から,vendor-m の認証情報を使ったFS1へのリモートデスクトップ接続
オ21:06MS1上で取得されたとみられる adm-ono の認証情報を使った,MS1からFS1へのネットワークログオン
カ21:06VPNで払い出された 10.10.200.15 から,vendor-m の認証情報を使ったFS1へのリモートデスクトップ接続

設問2

本文中の【 c 】に入れる対応と,【 d 】に入れる証拠保全の順序の組合せはどれか。解答群のうち,最も適切なものを選べ。

解答群

cd
アvendor-m と adm-ono を無効化してパスワードを変更し,EDRでMS1とFS1をネットワーク隔離するディスクのイメージ → メモリの内容
イvendor-m と adm-ono を無効化してパスワードを変更し,EDRでMS1とFS1をネットワーク隔離するメモリの内容 → ディスクのイメージ
ウ攻撃者のツールが動かないように,MS1とFS1の電源を直ちに切るメモリの内容 → ディスクのイメージ
エ攻撃者のツールが動かないように,MS1とFS1の電源を直ちに切るディスクのイメージ → メモリの内容
オadm-ono のパスワードを変更する。vendor-m はT社の保守に必要なので,これまでどおり利用を続けるメモリの内容 → ディスクのイメージ
カadm-ono のパスワードを変更する。vendor-m はT社の保守に必要なので,これまでどおり利用を続けるディスクのイメージ → メモリの内容

設問3

本文中の下線について,個人情報の保護に関する法律に基づく個人情報保護委員会への報告の判断として,最も適切なものはどれか。解答群のうち,最も適切なものを選べ。

解答群

正解 0 / 解答 0(全3設問)

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