設問1
〔台帳とリスク値の算定〕について答えよ。 表2中の【 a 】〜【 c 】に入れる適切な数値を答えよ。
オリジナル問題です(IPA の過去問ではありません)。AI が作成し、技術・規格の主張は一次情報で確認しています。本番とは出題の癖が違うことがあります。
D社は、従業員280名の精密部品メーカーである。取引先の自動車部品メーカーや医療機器メーカーから図面データを預かり、試作品と量産品を製造している。D社には、総務部、経理部、営業部、設計部、製造部及び情報システム部がある。
D社では、専務を委員長とする情報セキュリティ委員会(以下、委員会という)が情報セキュリティに関する規程を定めている。昨年、主要な取引先から、預けた図面データの管理状況について説明を求められたことを機に、委員会は、全部署で情報資産台帳(以下、台帳という)を作成させ、それをもとにリスクアセスメントを行うことにした。情報システム部のK主任が、部下のLさんとともに担当することになった。
D社の情報セキュリティ規程では、リスクアセスメントの手順を次のとおり定めている。この手順は、IPA「中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン」第3.1版の付録「リスク分析シート」の考え方を参考にしたものである。
なお、サイバー保険のように損失の一部を他者に負担させる対策は、リスク値の算定には反映しない。
各部署から提出された台帳の抜粋を表1に、K主任とLさんが各部署への聞き取りを基に作成した脅威と脆弱性の評価を表2に示す。
表1 台帳(抜粋)
| No. | 資産名 | 内容 | 管理部署 | 保存場所 | 機密性 | 完全性 | 可用性 | 保存期限 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 顧客図面データ | 取引先から預かったCADデータ | 設計部 | 社内ファイルサーバ | 3 | 3 | 2 | 取引終了後5年 |
| 2 | 社員情報 | 氏名、住所、給与、扶養家族など | 総務部 | 人事SaaS H | 3 | 2 | 1 | 退職後7年 |
| 3 | 受発注データ | 見積額、注文数量、納期 | 営業部 | 社内の販売管理サーバ | 2 | 2 | 3 | 10年 |
| 4 | 製品カタログ | 公開中の製品カタログPDF | 営業部 | Webサイト | 1 | 2 | 1 | 廃版まで |
| 5 | 会計データ | 仕訳、取引先の口座情報 | 経理部 | 会計クラウドK | 2 | 3 | 2 | 10年 |
表2 脅威と脆弱性の評価
| No. | 想定する脅威 | 現状の主な弱点 | 重要度 | 脅威 | 脆弱性 | 被害発生可能性 | リスク値 | 判定 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | ランサムウェアによるファイルの暗号化 | バックアップ先のNASが社内LANに常時接続されている | 【 a 】 | 3 | 2 | 【 b 】 | ― | ― |
| 2 | 人事SaaS Hへの不正ログイン | 利用者IDとパスワードだけで認証している | 3 | 2 | 3 | 2 | 6 | 大 |
| 3 | 販売管理サーバの故障 | 保守契約はあるが予備機がない | 3 | 1 | 2 | 1 | 【 c 】 | ― |
| 4 | Webサイトの改ざん | (CMSの更新は自動適用済み) | 2 | 2 | 1 | 1 | 2 | 小 |
| 5 | 会計クラウドKへの不正ログイン | (多要素認証を設定済み) | 3 | 2 | 1 | 1 | 3 | 中 |
注記 ―は、本文の都合で省略している。
K主任は、「大」と判定されたリスクについて対策案を整理した(表3)。今年度の追加予算は年額200万円である。
表3 対策案
| 案 | 対象No. | 内容 | 年額費用 | 実施後の脆弱性 |
|---|---|---|---|---|
| 案1 | 1 | 書換え不可の設定ができる外部ストレージに日次でバックアップを取得し、社内LANからは書込み専用の経路だけを許可する | 120万円 | 1 |
| 案2 | 1 | 全PCとサーバにEDRを導入し、外部の監視サービスに検知時の対応を委託する | 300万円 | 1 |
| 案3 | 1 | サイバー保険に加入し、データ復旧費用や賠償費用の一部を補償させる | 80万円 | (算定に反映しない) |
| 案4 | 2 | 人事SaaS Hの多要素認証を全利用者に設定する(追加の利用料はない) | 0円 | 1 |
| 案5 | 2 | 人事SaaS Hの利用をやめ、社員情報を紙の台帳で管理する | 90万円(事務作業の増加分) | ― |
注記 案5を実施すると、社員情報を人事SaaS Hに置かなくなるので、No.2で想定する脅威(人事SaaS Hへの不正ログイン)そのものが生じなくなる。
K主任は、「大」のリスクを全て「中」以下にでき、費用が最も小さい組合せを委員会に提案した。この組合せを実施すると、No.1のリスク値は【 d 】になる見込みである。
委員会では、専務から「案3の保険に入れば、案1を実施しなくてもよいのではないか」という質問があった。K主任は、①案3は、No.1のリスクへの対応として単独では不十分であると説明した。委員会は、案3については来年度に改めて検討することにした。
台帳の作成後、K主任は、台帳が実態と合っているかを点検した。まず、Webプロキシのログから、9月の1か月間のクラウドサービス宛ての通信を集計した(表4)。
表4 クラウドサービス宛て通信の集計(9月、抜粋)
| 項番 | 宛先サービス | 台帳への記載 | 主な利用部署 | 利用者数 | アップロード量 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 人事SaaS H | あり(No.2) | 総務部 | 4 | 0.2GB |
| 2 | 会計クラウドK | あり(No.5) | 経理部 | 5 | 0.1GB |
| 3 | ファイル転送サービスF | なし | 設計部 | 7 | 18.5GB |
| 4 | 生成AIサービスG | なし | 営業部 | 12 | 0.05GB |
| 5 | 地図サービスM | なし | 営業部 | 20 | 0.01GB未満 |
聞き取りの結果、項番3は、設計部の担当者が、試作の協力会社とCADデータをやり取りするために個人で登録した無料プランを使っていた。項番4は、営業部の担当者が提案書の文章を整えるために個人のアカウントで使っており、見積額を含む文章を入力した例があった。項番5は、顧客の所在地を調べるために閲覧しているだけであった。
次に、Lさんが、社内ファイルサーバの「顧客図面」フォルダのアクセス権を棚卸しした(表5)。D社の規程では、アクセス権は業務上必要な個人の利用者IDだけに付与し、共用の利用者IDは使用しないことにしている。また、他部署の従業員への読取権限の付与には、設計部長の承認が必要である。
表5 「顧客図面」フォルダのアクセス権(抜粋)
| 利用者ID | 利用者 | 登録時の所属 | 権限 | 最終ログオン日 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|
| d-sato | 佐藤 | 設計部 | 変更 | 9月30日 | ― |
| d-kato | 加藤 | 設計部 | 変更 | 6月27日 | 7月1日付で製造部(生産管理)に異動。異動後の業務で図面は扱わない |
| d-guest | ― | 設計部 | 変更 | 9月30日 | 設計部の作業用PCで共用 |
| s-mori | 森 | 営業部 | 読取 | 9月25日 | 顧客への製品説明で図面を閲覧する業務がある。読取権限の付与について設計部長の承認記録あり |
| t-abe | 阿部 | 製造部 | 読取 | 6月28日 | 6月30日付で退職 |
10月に、内部監査室が台帳とリスクアセスメントの運用を監査し、表6の指摘をした。
表6 内部監査の指摘(抜粋)
| 指摘 | 内容 |
|---|---|
| 指摘1 | 台帳は年1回の見直しだけで更新しており、年度の途中で利用を始めたクラウドサービスが台帳に記載されていない。 |
| 指摘2 | No.3のリスクは対策を講じずに保有することになっているが、台帳上の承認者が情報システム部のLさんになっている。 |
| 指摘3 | ファイルサーバのアクセスログは取得しているが、定期的に確認した記録がない。 |
K主任は、指摘1への対応として、年1回の見直しに加えて、②台帳を最新に保つための手続を規程に追加することにした。また、指摘2については、No.3の承認をやり直すことにし、指摘3については、表5の棚卸しと合わせて四半期ごとにログを確認する担当者を決めた。
設問1
〔台帳とリスク値の算定〕について答えよ。 表2中の【 a 】〜【 c 】に入れる適切な数値を答えよ。
設問2(1)
〔対策の検討〕について答えよ。 K主任が委員会に提案した対策の組合せを、表3の案の番号で全て答えよ。また、本文中の【 d 】に入れる適切な数値を答えよ。
設問2(2)
表3の案3及び案5は、それぞれリスク対応のどれに当たるか。解答群の中から選び、記号で答えよ。 解答群 - ア リスク回避 - イ リスク移転 - ウ リスク低減 - エ リスク保有
設問3
本文中の下線①について、案3が単独では不十分である理由を、40字以内で答えよ。
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設問4
〔運用状況の点検〕について答えよ。 表4の利用のうち、表1のNo.1の資産の機密性を損なうおそれが最も大きいものを項番で答えよ。
設問5
表5について、規程に照らして削除又は権限の見直しが必要な利用者IDを全て答えよ。
設問6
〔内部監査での指摘〕について答えよ。 表6の指摘2は、D社の手順のどの点に反しているか。40字以内で答えよ。
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設問7
本文中の下線②について、K主任が追加した、クラウドサービスなどの利用を始める前の手続の内容を、表4の状況とD社のリスクアセスメントの手順を踏まえて50字以内で答えよ。
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自己採点: ◯ 0 / △ 0 / ✕ 0(全8設問)
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